今回紹介する漫画は『めがはーと』です。
本記事ではネタバレを含みません。
『クズの本懐』の著者が描いた短編集です。この方は、女性の気持ちを描くのがうまいですね。本作品の表紙はいまいちですが、内容はイケてますよ。
巻数
1巻
総合評価 3点(3.2点)
設定の甘さはありますが、キャラクターの自己愛をうまく表現できています。弩級の自己愛です。
各指標評価
1.ストーリー 3点
読んでもいいと思います
自分の寿命がわかり、寿命を譲渡できる世界で、愛する人のために寿命を譲渡する話です。結婚した者同士、家族同士を対象に、自分の寿命を譲渡できます。それは、愛する者を失う悲しみを軽減するための措置です。
本作品でも、寿命の譲渡は愛の重さとして描かれています。自分の命を減らして相手の命を延ばす行為は、純愛というよりも愛の押し付けかもしれませんね。
寿命は100歳が上限のようですが、闇ビジネスでもっと長生きすることができるでしょう。『寿命を買い取ってもらった』でも書きましたが、寿命系の内容は、その制度を悪用しようと思えばできそうな部分に、設定の甘さがあります。
2話、寿命の譲渡とは関係ない話がありました。1話目は他の話の中にあっても違和感はなかったのですが、2話目はなくてもよかったですね。
2.キャラクター 3点
読んでもいいと思います
各話で、愛に生きるキャラクターが登場します。寿命の譲渡は相手の同意がなくてもできるので、基本的には利己的に行われます。相手のために、ではなく、自分のために寿命を譲渡する彼らは、相手を愛しているわけではなく、自分を愛していたのでしょう。
それがとても人間っぽくて、タイトルである『めがはーと』を表していますね。メガ級に重い愛。相手のためとし、自己愛を押し付ける様が、うまく表現されています。寿命の譲渡は、重い愛を表現する手段です。
3.読みやすさ 4点
興味があれば読むことをオススメします
可愛らしい絵で読みやすいです。性的な場面は一部ありますが、表現のスパイスとして受け入れられる程度です。最後のストーリーは、2人がどんどん似てきますが、それは意図して似せているのでしょう。
コマ割りは、一般的です。が、漫画なのに、文字だけで構成されるページがあります。文字だけのページは、キャラクターの心情を深く表現するので、私は結構好きです。
4.没入感 3点
読んでもいいと思います
それぞれの話は面白いです。が、やはり、短編集なので、ハマる前に話が終わってしまいます。最後のストーリーは、続きが気になる構成になっており、没入感高めでした。
5.独創性 3点
読んでもいいと思います
寿命系の話は、珍しくはありません。もっと設定が作り込まれていたら、この項目だけでなく全体の評価が上がっていたでしょう。
寿命の譲渡を、愛の押し付けとして描いているのは、肥大化した自己愛の面白い表現だと思いました。
最後に
自分が寿命を譲渡できるとしたら、パートナーにするのでしょうか。それほどに相手を愛せるでしょうか、あるいは、それほどに相手を愛していると表現したくなるほどに自分を愛せるでしょうか。
芸能人は、彼らのファンから寿命を集められそうですね。
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