今回紹介する漫画は『アイ'ム ホーム』です。
本記事ではネタバレを含みません。
「仮面を被って生活する」というのを、一度はやってみたいと思ったことはありませんか?私は、狐のお面を被って生活してみたいと思ったことがあります。今では中二病的だと笑えますが、当時の私にはそれがかっこよかったんです(笑)。
巻数
2巻(上・下巻)
総合評価 3点(3.0点)
ストーリーは、悪くはないんですが冗長ですね。もっとコンパクトにして、読み手に考えさせるような内容にすれば、より人気がでたでしょう。主人公と周りの人たちに抱く思いで、本作品への好き嫌いは大きく変わると思います。
各指標評価
1.ストーリー 4点
興味があれば読むことをオススメします
事故(一酸化炭素中毒)により、5年分の記憶を失った主人公(サラリーマン)の話。主人公にとっては、5年前こそが現在なので、離婚した前の妻の家に行ったり、記憶を探すため思い出せる場所を訪れたりします。
う〜ん、終盤に行くに従って、主人公が嫌なやつになってきます。主人公に同情していた読者は、その感情を持て余してしまいます。終わり方をどう判断するかで、そのモヤモヤ度が測れると思います。
終わり方は綺麗ですが、あの終わり方はないでしょう。私は思うんです。記憶は物理的には無くならず、想起ができないだけなので、きっと記憶は戻るだろう、と。あの終わり方であれば、また不幸が訪れます。私としては、バッドエンドですよ!
2.キャラクター 4点
興味があれば読むことをオススメします
記憶を失った主人公は、物腰が柔らかく人間的に弱そうでいい人です。妻にぐちぐち言われても、うだつが上がらない旦那さんのイメージです。記憶を失った主人公は、ね。
本作品で特徴的なのは、再婚した相手、その間に生まれた子供、義理の父母が、マスクを被っているように見えるところです。事故の影響で、彼らの顔がわからなくなってしまったようです。自分たちを認識できない主人公とのやりとりは、ギクシャクしたものになってしまいます。
主人公の周りの人たちは、心優しい人が多いです。彼らの主人公への接し方が、逆に、私をイライラさせました。人は過去の行為で罰せられるべきでしょうか?そうでしょう。人は忘れてしまった過去の行為で罰せられるべきでしょうか?みなさんはどう考えますか。
読み手をイライラさせるのが目的なのであれば、各キャラクターはいい味を出しています。
3.読みやすさ 3点
読んでもいいと思います
ここは特筆すべきものはありません。
絵は少し古めですが、読む分に支障はありまえん。コマ割りはいたって普通です。
4.没入感 2点
読みたければ読めばいいと思います
再婚相手の顔が仮面のように見えるという設定は、結構面白いんですが、そこまで没入することなく読み終えました。その理由は、冗長な場面が多いからなんでしょう。
過去に囚われる主人公と、過去の主人公の行いから彼を拒絶する人々。その辺りを丁寧に描きすぎています。そのため、締めの部分では、なぜそう終わるのか非合理的な終わり方になってしまっています。追加で100頁描こうと思えば描けるような感じですもの。
もしかすると、続きを考え想像させるのが目的かもしれません。が、それはないでしょう。もっとコンパクトな作品であれば、そのような仮定を置いて、本作品の評価はあがっていましたね。
5.独創性 2点
読みたければ読めばいいと思います
仮面の設定は不安を煽る感じで良かったです。それだけでに、アイディア1発勝負な漫画に思えてしまいました。「家族とは何か」をテーマにしていますが、それはこの設定でないほうが描けると思います。
実は主人公がXXXだった系の話もそれほど珍しくないでしょう。 また、物語の展開もありふれたものです。巻数が1巻で、もっとコンパクトになっていたほうが、よりよい作品になった気がします。
最後に
漫画の「あとがき」が読ませる文章で面白かったです。
人によって、家が居場所であったり、会社が居場所であったり、公民館が居場所であったり様々でしょう。そこを居場所と思うのは、やはりそこにある気が合っているからなんでしょうか。
本作品は、木村拓哉さんと上戸彩さんと言った豪華キャストでドラマ化されています。興味がある人は、ドラマもチェックしてくださいね。
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ネタバレあり感想