今回は『宝石箱』のストーリー毎に私の感想と注目ポイントを紹介したいと思います。ストーリーの分け方は私の分類によりますので、もしかすると皆さんとイメージと違うかもしれません。
本記事ではネタバレを含みます。
各ストーリー感想
2色カラー編 1巻(1話)
遠距離恋愛の寂しさを表した話なんですが、内容はどうでもいいです。
この話は、紺とオレンジの2色カラーで描かれており、目が痛くなる読み辛さです。8ページという短編ですが、8ページでも読んでいてしんどくなりました。
著者は、きっと、読み手にも楽しんでもらえる、と思いながら2色カラーで描いたのでしょう。しかし、実際には、紺とオレンジの2色では読み辛く、内容そのものもファンタジー系で、内容が頭に入ってきませんでした。
著者や、これを企画、採用した大人たちの自慰を見せられているようで、読んでいて“イラっ”としたと同時に、こういう自慰行為が公に行われる様は、まさに、著者のもつ権力の大きさを物語っています。
内容の面白い面白くないは、読み手によって違うでしょうが、読み辛い読み辛くないは、それほど変わらないでしょう。少なくとも、2色の合う合わないは、学問的に確立されていますので、一度勉強されたほうがいい、と思いました。
泣かない女はいない編 1巻(3話)
この話は、長嶋さんの『泣かない女はいない』が原作です。やはり、原作者が別にいる漫画は、内容に読みごたえがあります。
主人公は、日常に不満なく生きていましたが、それは、自分の気持ちを殺していたからでしょう。樋川さんの歌う「no woman no cry」で、自分が大人になってから泣いていないと気づきました。
加えて、パートの佃さんが解雇され、駅のホームで一人泣いている姿を見て、何かが主人公の中でわかりました。感情を殺して生活していた日常から抜け出したかったのでしょうか。同棲中の彼氏と別れたのは、その一歩でしょう。
この話は、他の8話よりも多くのページが割かれており、比較すると内容は重厚でした。主人公の感情の変化が表に出ないことが多々あり、主人公の周りのキャラクターがそれに気づかないのはもちろん、読み手も、主人公の思いは深くはわからないでしょう。
そういった感情がわからないミステリアスな主人公にも関わらず、一見すると“普通”の女性っぽいのが、この話の面白いポイントになっていますね。
熱射病編 1巻(9話)
これまでとは描き方が変わり、回想場面では、線が乱れており、記憶の曖昧さが表現されています。さらに、顔の影を濃厚に描くことで、鬱屈した感情がうまく表現されています。
元彼と会う女性の話で、内容そのものは苦手な部類です。男女が、特に女性が過去を懐かしがっており、よくある話のように思えました。女性は何を求めていたのでしょうか。それは、彼女自身にもわからないでしょう。
あえて、感想で取り上げたのは、絵の描き方が他の8話と変わっているのに興味を引かれたからです。この話は、2002年に描かれたもので、前に出版された短編集に入らなかったため、今回の格納になったようです。・・・、没作品じゃないですか!
その他編 1巻(2,4~8話)
上記以外にも6話の話が格納されていますが、私には取り上げるほどの話ではありませんでした。
もちろん、皆さんにとって面白いと思う作品はあるでしょう。
最後に
読み切り作品集は、各話にまとまりがないので、ストーリーごとに感想を書くのがむずかしいですね。本来なら、全話取り上げるべきかもしれませんが、労力との兼ね合いでそれはしません。
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