今回は『ねぇ、ママ』のストーリー毎に私の感想と注目ポイントを紹介したいと思います。ストーリーの分け方は私の分類によりますので、もしかすると皆さんとイメージと違うかもしれません。
本記事ではネタバレを含みます。
各ストーリー感想
国内編 1巻(1,3,5~6話)
1話では、息子が一人立ちする母親の寂しさを描いています。この話は、結構グッときます。父親の気配の描写すらないのは、母親が一人で子育てしたことを暗示しているのでしょうか。
息子の研修最終日、次の日から寮に引っ越す息子のため、母親は、鯛の塩釜焼きを作ります。その時の表情がとても愛らしくて、息子がその日一緒に晩御飯を食べないことが読み手に苦しみを与えます。1話は、親の気持ちがわからない子の話です。
母親の気持ちに気づかない息子。でも、それは息子が悪いわけではありません。皆さんも経験があると思いますが、親はいつも居るものだ、と思ってしまうんですよね。本当に大切な存在だからこそ、空気みたいに当たり前に感じてしまって、将来後悔するんです。
6話では、2年間ひきこもりの17歳の青年が、「日本の絶景」を見に行く話です。学校でいじめられた彼は、部屋から出られなくなってしまいます。そんな中、「いやんなっちゃう」、「なんて毎日」が口癖の母親が言った「どうしてあんな子に・・・」を聞いてしまいます。これは、息子的にとても苦しいですね。普段から、何気ないネガティブな言葉に露出され、心が委縮しています。
たぶん、彼は死のうとしていて、その前に、昔母親が見せてくれた『日本の絶景』に載っている景色を見に行ったのでしょう。「生きててよかった」は、学校と家庭という空間以外にも世界があること知って出た言葉です。
その後、彼は家に帰ります。母親は、彼がいない時間を特別なことをせずに過ごしていたでしょう。だから、彼は、また、閉ざされた空間に幽閉されてしまいます。母親が口癖で言うネガティブな言葉に曝され、回復不可能な傷を心に負うことになると予想できます。 6話は、子の気持ちがわからない母親の話です。
なお、5話と6話は、つながっています。
海外編 1巻 (2,4,7話)
すべての話がつながっています。海外の孤児院の話です。
3話で、国内の孤児の話が描かれており、海外の孤児院⇒国内の孤児⇒海外の孤児院という風に交互に話が進みます。この構成はうまいですね。これで、海外の孤児院の話を幾分か身近に感じます。
ザザとヤニクは、仲良しです。ヤニクは、娼婦の母親に捨てられました。が、4話で、その母親がヤニクを回収に来ます。ザザにとって、ヤニクは家族みたいになっていました。4話は、血のつながりこそが最も強い絆であることを表しています。どれだけ精神的につながっていたとしても、血には敵わないのです。
私は、海外編はあまりグッときませんでした。それは、たぶん、海外の孤児院の話が、私にはリアルに感じれらなかったからでしょう。
最後に
子は、誰のために生きるのでしょうか。親は、誰のために生きるのでしょうか。子は親のため、親は子のために生きるのであれば、お互いに生き苦しくなります。それでも、親と子では、親のほうが力があります。子は親を選べません。が、親は子を選べます。
子は、親の所有物なんでしょうか。違うでしょう。全体的に、 親が子を捨てる話が多かったように思えます。読み手は、単に「かわいそう」という感想を捨て、子と親の在り方を考えるべきだ、と本作品は示唆しているのかもしれません。
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