今回紹介する漫画は『宝石箱』です。
本記事ではネタバレを含みません。
これは評価が分かれる漫画です。
小玉ユキさんのファンにとっては、とても素晴らしい漫画でしょう。一方、小玉ユキさんの漫画を初めて読む人、あるいは、まだそこまで読んだことがない人には、物足りない漫画でしょう。
巻数
1巻
総合評価 3点(2.6点)
小玉ユキさんのファンが読むと、最高に面白いと思います。読み切りを集めた作品なので、ファン以外には内容が薄く感じられるでしょう。しかし、1話目の2色カラーには、良くも悪く反応してしまいますよ。
各指標評価
1.ストーリー 2点
読みたければ読めばいいと思います
内容に一貫性はありません。なぜなら、本作品は、小玉ユキさんのこれまでの読み切り作品を集めたものだからです。
それぞれの話が完全に別物であり、ページとして短いので読みやすくはあります。興味深く読んだ話もあります。「泣かない女はいない」は、良かったですよ。原作は別の人でしたが、ページも他の話より割かれており、ある程度充実していました。
「私 大人になってから 泣いたことないんだ」そんな主人公が、泣いている知り合いの元同僚を見て、なんとも表現できない気持ちになりました。恋心と泣かないという気持ちが入り混じり、生活が続きます。
2.キャラクター 3点
読んでもいいと思います
各話で、いろいろなキャラクターが出てきます。それぞれ似ていますが、被ることなく描き分けられていることから、著者の表現力がわかります。
ただ、特段、魅力的な人物はいません。良くも悪くも“普通”です。日常の一部、本当に一部を切り取った話の集まりなので、これは仕方がありませんね。
逆に言えば、その“普通感”は魅力です。不思議な話もあるのですが、それですら“普通”に見せる力があります。不思議な話を現実的に描くのではなく、それがあたからも、“改札を通り電車に乗るくらい普通なこと”に描かれています。
3.読みやすさ 3点
読んでもいいと思います
「熱射病」の、絵の描き方は、緩急のつけ方、表情の影の描き方等、他の話と違うものがあります。「熱射病」は最後に格納されている話であり、ここでガラッと描き方が変わるので、違和感があります。しかし、挑戦的な描き方で高評価です。
1話目には、2色カラーで描かれた挑戦的な作品があります。慣れていないので、目がしぱしぱして読み辛いですが、そのまま単行本に格納した姿勢は評価に値します。読み辛さは減点要因になってしまうのですが。
4.没入感 1点
読むことをオススメしません
「泣かない女はいない」以外は、まぁ、ないです。漫画の内容に深く浸りたい人にはお勧めしません。
一方、小玉ユキさんの作品が好きで、小玉ユキさんの世界観に深く浸りたい人にはお勧めします。
5.独創性 4点
興味があれば読むことをオススメします
2色カラーの読み辛い1話目は、新しい表現と言えるでしょう。内容にこだわった話というよりも、見せ方にこだわった話であり、著者の芸術性が表現されています。
読み手のことを考えていない姿勢は、“自分の描きたいものを描く”という、売れている漫画家にしか成しえないものであり、それが遺憾なく発揮された結果と言えます。著者は、たぶん、読み手も喜んでくれるだろうと思っており、その純粋さ、無邪気さかが刺さります。
最後に
小玉ユキさんのファン向けの漫画です。
小玉ユキさんのファン以外には、刺さらない内容になっています。
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