今回紹介する漫画は『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』です。
本記事ではネタバレを含みません。
『惡の華』の作者の押見修造さんの漫画です。1巻完結なので手軽に読めますよ。
巻数
1巻
総合評価 3点(2.6点)
感覚として2点と思っていたのですが、3点になりました。確かに、刺激的に面白いわけではありませんが、著書が「吃音高校生の学生生活」を描こうとしたのであれば、こんな感じになるだろうな、という作品です。現実世界の「普通」が体現されている作品です。だから、この作品はそもそも高得点を取る意図はないんですよ。
各指標評価
1.ストーリー 3点
読んでもいいと思います
吃音症の女の子(主人公)と音痴の女の子の話です。 テンポは早めです。それが、主人公の学生生活に特筆すべきものはないと表現しています。描くには面白くなく変化がなく単調な生活なんでしょう。実は、その生活こそ、主人公が望んでいるものなのかもしれません。
終わり方は、嫌いじゃないです。最後に時間が一気に飛びますが、悪い感じはないですね。終わりの前の終盤は、押見さんの作品によくあるストーリーのクライマックス的表現が用いられています。私は好きですよ!
頑張っている子が笑われているので、それが苦手な人には読むのがきつい作品です。人が頑張っているのを笑う人を、私も好きになれません。そういう点では、読み辛い作品でした。
2.キャラクター 3点
読んでもいいと思います
吃音症も漫画の世界じゃ珍しくありません。吃音症を笑う周囲も、やはり若さゆえの過ちなんでしょう。現実世界でも、人の吃音を笑う大人がいますからね。精神的に若い高校生を責めるのは酷です。
音痴の歌好きもあるあるですが、終盤で、あの選択ができるとても素晴らしい子です。
お調子者の男の子は、まさに高校生男子です。 本当は近づきたいのに、周りに合わせて吃音のモノマネをする。でも、近づきたいから近づこうとする。自分のやったことに気づいて謝れるいい子ではありました。
3.読みやすさ 2点
読みたければ読めばいいと思います
絵はちょっと力強いです。 なぜかそれほどテンポよく読めません。絵からキャラクターの思いが伝わってくるようで、じっとりとした感じを覚えます。
4.没入感 2点
読みたければ読めばいいと思います
それほど深くははまりませんでした。1巻なので内容がぎゅっとなっています。「読みやすさ」でも書きましたが、没入すると言うよりは、無意識的に距離を置きたくなる作品です。
5.独創性 3点
読んでもいいと思います
吃音症でも歌とすれば問題なく歌えるという設定です。うまく話せなくとも、歌にすれば話せるのは、この前読んだ『心が叫びたがってるんだ。』でも似たようにありましたね。音痴のギャルの音痴さを表現するのは、絵としてうまかったです。まるでジャイアンの歌声的な描写です。あれを女の子に適応したのは見事。
最後に
じっとりと嫌な感じがする作品です。読んでいて気分が上がることはありませんので、沈みたい時に読むといいかもしれません。楽しい気持ちの時に読むと、ネガティヴになります!
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