今回紹介する漫画は『雑草たちよ 大志を抱け』です。
本記事ではネタバレを含みません。
高校生活を思い出すと、劇的なイベントはそれほどなかったように感じます。でも、きっと、当時の私には刺激的だったのでしょう。漫画のような高校生活とは言えないかもしれませんが、それは、別の言い方をすると、文学的な高校生活ですね。
巻数
1巻
総合評価 2点(2.4点)
没入感はありませんが、「目」で感情を表す技法は、面白いです。どこでにもありそうな日常が、どこにでもいそうな高校生によって展開されています。だから、『雑草たちよ 大志を抱け』というタイトルなんでしょう。
各指標評価
1.ストーリー 2点
読みたければ読めばいいと思います
高校生の日常を描いた作品です。どちらかといえば、冴えない女子高校生たちの話です。冴えないながらも、日々を生きる高校生たちの日常です。
オムニバスではなく、主人公はいます。しかし、その子が常に物語の中心、というわけではありません。他のキャラクターを主とした話がいくつかあり、その際、主人公は衛星的に彼女らの物語を支えています。
それぞれの話は、つまらなくはありません。が、話がそれぞれブツ切りになっており、一貫した面白さは感じられませんでした。終わり方も、壮大なもの、あるいは、次第にフェードアウトするものではなく、目の前でシャッターを下ろされた感じです。
2.キャラクター 3点
読んでもいいと思います
キャラクターはいい味出しています。それぞれ高校生っぽくて、タイトルが表すように、どこにでもいそうな高校生たちです。だからこそ、大志を抱くよう諭しているのでしょう。
主人公は、人の痛みがわかる人で、相手に傷つけられながらも、相手が傷つかないよう心配します。彼女自身、肉体的に精神的に強いわけではありませんが、他をいじめるほどに弱くはありません。
主人公の仲が良い子たちも、魅力的です。ストーリーにうまくはまると、もっと魅力が出そうなキャラクターたちばかりで、それが残念に感じました。短い話ですと、どうしても表面的にしか読めませんので。
3.読みやすさ 3点
読んでもいいと思います
コマ割りが大胆です。細々と何かを表現するのではなく、大きなコマで、絵を小さく描く等、伝え方に工夫があります。
1巻という短さ、大きなコマ割りなので、内容はどうしても薄くなってしまいます。そういう意味で、さらさらっと読めました。
4.没入感 1点
読むことをオススメしません
各話がブツ切りなので、没入することはまずないでしょう。また、各話も、形式的、内容的に密度はそれほど濃くないので、物語に入り込む前に読み終えてしまいます。
5.独創性 3点
読んでもいいと思います
描き方は結構面白いですよ。顔の表情で感情を表現するというよりも、目で、読者に感情を伝えようとしていますね。特に、音楽祭に向けて自主練している主人公たちの目は、何の感情を表しているかはわかりませんが、何か強い思いがあるとわかります。
内容そのものは、一般的で、独創性はほとんどありません。もしかすると、それがリアルな高校生活なのかもしれませんが。
最後に
表紙が可愛らしいので、表紙買いしたくなります。
もっと巻数が多かれば、大きなコマを多用する技法で、よりキャラクターたちの魅力を発揮できたと思えます。
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