今回紹介する漫画は『しあわせのひなた食堂』です。
本記事ではネタバレを含みません。
久々に5点が出ました。私は、料理系の漫画は苦手ですが、たまに良くできた料理系の漫画に出合います。本作品は、まさにその1作品です。
巻数
1巻
総合評価 5点(4.8点)
内容、絵、雰囲気がぴったりと合った作品です。2人の子を持つシングルマザーが食堂を営む話です。全体的に暖かく、主人公家族を応援したくなること間違いなしですよ。
各指標評価
1.ストーリー 4点
興味があれば読むことをオススメします
小さな子2人を連れて上京した母親が、上京先で食堂を開く内容です。
心温まる話しか描かれていません。現実では、小さな子2人のシングルマザーは、生きていくだけでも大変でしょう。また、食堂を開くと、いろいろと費用がかかり、生活は決して楽ではないはずです。本作品では、シングルマザーが直面する貧困とは無縁の話です。だからこそ、読み手は読後に暖かい気持ちになれるのでしょう。
基本的には、家族3人の生活を描いています。食堂の話ですので、料理も出てきます。ここですごいのが、料理が内容から浮いているわけではなく、内容に溶け込んでいる点です。ほぼすべての料理漫画は、その料理がでる必然性がありません。しかし、本作品では、そうではないのです。
私は、食べ物系の漫画が得意ではないのですが、本作品は見事にはまりました。食べ物が出てくる合理的な理由が、実はしっかりと描かれているからです。この料理がこの話で出なければならない、と振り返って必然性を覚えます。
そして、なによりすごいのが、こういう風に評価しようと思ってしっかり読まなければ、それが意識に上がらないことです。それほど自然でした。
最終話は、途中まで読めば予想できる内容です。それでも、読んでいる途中はハラハラしますし、主人公たち3人に幸せで平穏な日常を送ってほしいと心から思いました。
2.キャラクター 5点
ぜひ読むことをオススメします
食堂を営む母親、それをサポートする長男、まだ生まれたばかりの長女。この3人の絆は強いです。3人でなんとかしなければならない、という思いが、描かれてはいないのですが、感じます。困難な状況に違いないのに、笑顔があふれています。
お客さんも、いい味を出しています。それぞれが何らかの思いを持ちながら生きています。主人公らがお客さんの力になることもあれば、お客さんが彼らの力になることもあります。こういった関係は、強い。
個人経営のお店は入りにくい人も多いでしょう。私もそうです。だからこそ、本作品に出てくるような食堂に憧れるのだと思います。自分も彼らと交わってみたい、そう思える皆さんでした。
3.読みやすさ 5点
ぜひ読むことをオススメします
きれいな絵、ではありません。が、味がある絵です。そして、作品の雰囲気に合ってて、読んでいて暖かい気持ちになります。
コマ割りは、特段新規の試みがあるわけではありません。 だからこそ、本作品を安心して読めるのでしょう。奇をてらうのではなく、日常を、そうとはわからないよう綺麗にラッピングしています。
形式的にも作品の内容に合っており、読みやすいと言えます。
4.没入感 5点
ぜひ読むことをオススメします
続きがとても気になります。それは、最終話とつながるのですが、いずれ、どこかでXXXが登場するだろうと予期できるからです。だからこそ、3人で築き上げた平和な空間が、どうなるのか心配になります。
それ以外にも、話の途中途中に挿入される過去の境遇は、主人公たへの同情を喚起し、「ひなた食堂」の繁栄を願ってしまいます。幸せになるべき人たちが、幸せになれるのか。どのような未来が彼らに待っているのか、続きが常に気になりました。
5.独創性 5点
ぜひ読むことをオススメします
たぶん、似たようなテーマはあるでしょう。
しかし、私がこれまで読んだ漫画の範囲では、これほど、ストーリーと絵と雰囲気が合った作品はなかなかありません。特に、料理ものの漫画では、皆無です。そういう点で、本作品は独創的です。新規性ではなく、組み合わせにより、面白い漫画を生み出しています。
最後に
1巻という短さを惜しいと感じます。
私にはとても面白い漫画でしたが、万人に受ける漫画ではないように思えます。アクション系の漫画を主に読む方には、良さが伝わりにくいかもしれません。しかし、いずれ、本作品の魅力に気づくとも思います。
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