今回紹介する漫画は『もののて』です。
本記事ではネタバレを含みません。
忍者は、現代で言えば公安警察になるのでしょうか。それとも、探偵事務所になるのでしょうか。江戸期の忍者は、公安警察としての役割が強いでしょうね。もともと持っていた暴力機能は縮小しました。
巻数
3巻
総合評価 4点(3.8点)
世界観がいい作品です。気づけば3巻まで読んでいること間違いなしです。だからこそ余計に、この作品が3巻で終わっているのが残念です。
各指標評価
1.ストーリー 3点
読んでもいいと思います
左手が右手、右手が左手の忍び(男)が、自分の手を探す話です。が、この設定は3巻という尺で十分に描かれていません!医者志望の女の子がお供としてついてきます。基本的には勧善懲悪な展開で、内容としては難しくありません。
1巻と3巻では、女の子に対する主人公の気持ちが違います。随所に過去の話を入れ、過程をわかりやすく表現しています。ただ、心情や行動の背景が丁寧に描かれすぎている気がしますね。
終わり方、打ち切り!謎が謎のまま終わる作品です。
2.キャラクター 4点
興味があれば読むことをオススメします
主人公の忍びは、エロ少年ではありますが、なかなかにピュアなやつです。エロ少年設定が、後半になるにつれ治っているので救いがあります。連載当初は、思春期の読み手を意識していたのでしょう。
女の子は序盤の自己中さはさておき、後半の愛らしさはGoodです。医師になりたいという夢の設定も納得感のあるものです。一途さも愛らしいですね。打ち切りで、彼女が2度と描かれないのがとても悲しいです。
他にも、魅力的なキャラクターはいます。特に、3巻のおじいちゃんとかめっちゃ暖かいキャラですよ!一方で、敵役は魅力が欠けています。悪の動機が、金や女と言った陳腐なものです。そこに深い思想はありません。
3.読みやすさ 4点
興味があれば読むことをオススメします
私は、特に一緒に行動する女の子の絵が好きです。 全体的に、絵がとてもうまいわけではありませんが、忍びという設定や、作品の時代には合っているように感じます。
戦闘シーンの躍動感はありません。戦闘が主のアクション漫画であるので、これは厳しいところです。コマ割りも普通でしたので、打ち切りの原因は、内容よりもアクション場面にドキドキしなかったからでしょうか。
4.没入感 5点
ぜひ読むことをオススメします
ストーリーは面白いです。私は気づいたら3巻の途中まで読んでいました。3巻のここから面白くなるぞ、というところで話は断絶しますので、喪失感が襲ってきました(笑)。加えて、3巻の最後の著者コメントが哀愁を感じさせます。
わかりやすい内容だからこそ、パラパラと次に進めた部分もあるとは思います。しかし、読み手にわかりやすいように描いて読み進ませるというのは高度な技術です。もっと続きが読みたいと思わせる終わり方も、ある意味この項目では高評価になりますね(笑)。
5.独創性 3点
読んでもいいと思います
設定やストーリーは王道でしょう。主人公の境遇は、他の忍者漫画である『NARUTO』と同じ匂いがします。これは仕方ない部分があります。もっと尺が長ければ、他作品とは違った特徴も出せたでしょう。
ただ、経理にうるさい忍びの村は面白いと思いました。
最後に
本作品が打ち切りで終わりというのは、『ダブルアーツ』が打ち切りになった時くらいに残念なことです。
自分が面白いと思った漫画が打ち切りになると、「自分の面白いと一般的な面白いは違うのか」と思います。同時に、打ち切りになった作者には、「私は好きだよ」と伝えたくなります。・・・、伝えたことはありませんが。
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ネタバレあり感想