今回紹介する漫画は『この世界の片隅に』です。
本記事ではネタバレを含みません。
クラウドファンディングで資金を調達し、アニメ映画にもなっています。クラウドファンディングでは、200万円近くを目標にしていたところ、400万円集ったようです。本作品を好きで映画化したい人がけっこういたのですね。同じように資金を集める漫画は他にもあるでしょうが、それを映画化する人がいるかどうかが重要です。
巻数
3巻(上・中・下巻)
総合評価 4点(4.2点)
心情的には5点でしたが、評価項目で計算すると4点でした。万人に勧めても理解が得られる作品なので、4点で妥当なんでしょう。
各指標評価
1.ストーリー 5点
ぜひ読むことをオススメします
テンポいいです。最初に、主人公の幼少期(10歳前後)の話がちょろっとあり、後は、19歳くらいの時期が中心になります。育った広島を離れ、呉に嫁ぎます。呉での嫁ぎ先での日常がほのぼの描かれています。
戦争というテーマはありますが、具体的な死というのは、他の戦争物の作品に比べそれほど表現されていません。しかしながら、日常の中でも戦争を感じる場面はあり、平和ボケしている頭に刺さります。過剰な演出はありませんので、「戦争とは何か」を考える導入に適した本でしょう。
2.キャラクター 5点
ぜひ読むことをオススメします
主人公はおっちょこちょいです。それがいい。現代社会では、価値最大化や行動最適化等の生産性を上げることばかり重視されているような気がします。描かれている世界でも、主人公は一部の人に嫌味を言われていますが、実はその人をもその性格で救っていました。
全体的に登場人物はいい人です。他の戦争物に比べると、マイルドすぎる人が多いですね。人間的でありながら、人間としてできすぎている感はあります。それが日常だった、と言われるとそうだろうと思うしかありませんが、私は違うと思います。著者が、戦争とは何かを考えるきっかけに本書を位置付けているから、このような人間にしたのでしょう。強烈であれば、読み手を選びますからね。
3.読みやすさ 2点
読みたければ読めばいいと思います
読み辛かったです。コマ割りや絵はどちらかと言えば読みやすいのですが、注釈として途中に挿入されている文字が猛烈に読みにくかったです。文体が私には合いませんでした。物語の理解を深めるために著者が追加してくれたものなので、そこで減点するのはどうか、と思いましたが、読み辛いのは事実ですのでこの評価になりました。
絵は、最初はとっつきにくさを感じるかもしれませんが、途中からはあのクセがきっと気に入りますよ!
4.没入感 5点
ぜひ読むことをオススメします
これはすごい。どんどん引き込まれる書き方がされています。だから言って、突飛な内容ではありません。「戦争中の日常」が過剰な演出抜きで書かれています。歴史物なので、大筋としての展開は分かります。本作品では、そこで生活してい人たちの息遣いを丁寧に書いており、もっと読みたいと思ってしまう作品です。また、前に出た話が実は後の伏線になっていたり、意外なところで繋がり感動しました。
とりあえず、試しに上巻だけ読んでみるか、と手にとったところ、気づいたら全部読みきっていました!
5.独創性 4点
興味があれば読むことをオススメします
広島ではなく、呉を舞台に選んだのは面白い。確かに、原爆についても他との作品とは違った角度から表現できます。
コマの使い方も大胆です。カルタの話では、ページをカルタで埋めています。他にも挑戦的なコマ割りで、おぉ、となります。漫画を勉強している人にとっては、コマ割りの参考になるでしょう。
最後に
正直に言えば、それほど期待せずに手に取った漫画です。映画化されているのは知っていて、映画を見た友人から、あまり面白くなったと聞いていましたので。まぁ、3巻で完結するし、ブログを書く目的として読む分にはいいかな、と思い手に取りました。実際に読んで見ると没入する。映画をまだ見ていないので比較はできないのですが、私は本作品は面白いと思います。
特定の人の意見に捉われすぎるのもよくないですね〜。なんて言ってしまうと、本ブログそのものを否定してしまうことになるんですが(笑)。
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