今回紹介する漫画は『青春相関図』です。
本記事ではネタバレを含みません。
読むまでは、以前に紹介した『トモグイ』レベルだろうと思っていました。C級サスペンス漫画ではなく、かなり面白かったです。
巻数
3巻
総合評価 3点(4.2点)
とても惜しい。設定、キャラクター、雰囲気、それぞれが面白いのに。3巻の後半から最後にかけて、膨らんだ風船の空気が抜けるような展開は、とても惜しいです。しかし、そこ以外は、期待以上に楽しめる作品ですよ!
各指標評価
1.ストーリー 3点
読んでもいいと思います
学校の屋上から1人の女子高校生が落ちた。その真相を、主人公である彼氏が解明しようとする話。
彼女が作成していた同級生の人間関係を記載した「人物相関図」により、5人のピエロが彼女を追い詰めていたことがわかります。しかし、その相関図には、実名ではなくあだ名が記載されており、主人公は相関図を紐解きながら、真相を解明しようとします。
と書けば、『トモグイ』系の漫画と思うでしょう。読むまでは、私もそう思っていました。しかし、本作品、期待以上に面白いです。主人公vsピエロではなく、主人公vs同級生という歪な構図が序盤に確立し、その中で発露される正義感は過激です。
彼女が残した相関図をもとに、5人のピエロを探すので、読者もともに、相関図のどこに誰が該当するか考えながら、ピエロを推理することができます。
それだけに、3巻の後半から終わりにかけて、すごく残念でした。序盤は1巻1ピエロのペースなのに、終盤で、無理やり残りのピエロが判明します。ここもっとうまくできたでしょう。終わり方は打ち切りの終わり方でした。
ネタバレあり感想で詳しく書きます。
2.キャラクター 5点
ぜひ読むことをオススメします
主人公は、かなりの自己中心的思想で、彼女が屋上から落ちた真相に近づくためには、周囲を容赦なく切り捨てます。他作品の主人公であれば、 人の弱みに付け込むことを躊躇するでしょうが、本作品の主人公は、使えるものはどんどん使います。
ピエロもなかなかに尖っています。1人目のピエロが肉体系なら、2人目のピエロは知能系です。特に、2人目のピエロは、主人公の追い詰め方も素晴らしく、正体が主人公にばれてからの振る舞いも凶器的です。
同級生も、自分に被害が及ばないよう、利己的にふるまいます。それぞれの保身的な行動は、学校という閉鎖空間で生き延びるために行使されており、悪意が満ちた空間に適った行動様式です。
3.読みやすさ 4点
興味があれば読むことをオススメします
作品に合っている絵です。線は細すぎず、主人公たちは華奢には描かれていません。
コマ割りは、特段挑戦的なものはありませんが、読みやすさという点では、いい感じでしょう。
作品が展開するスピードについていけるよう、形式的に読みやすいです。
4.没入感 5点
ぜひ読むことをオススメします
新しい事実が判明するたびに、私は、相関図を見直し、誰がどこに該当するか考えました。そして、ピエロの正体が判明した際は、それをもとに相関図を見直し、誰がどこに該当しているのか確認しました。
上記作業は、読み進めるうえでは負荷になります。しかし、この作業があるからこそ、余計に続きが気になり、本作品を深く楽しむことができます。読者は自己の推理、主人公の推理に違和感を覚えながら読み進めるでしょう。相関図がわかった際には、その違和感が正しかったとわかります。
なるほど。
週刊誌では、次の話を待つのがつらいですね。単行本向けの作品です。
5.独創性 4点
興味があれば読むことをオススメします
人物相関図を用いて、主人公と一緒に推理する過程を楽しめる作品は、なかなかないでしょう。
キャラクターらの思考も、平凡すぎず過激すぎず、それでも、現実にも存在しそうな程度に陰気でした。
最後に
5人のピエロというのが中二病心をくすぐります。
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