今回紹介する漫画は『トモグイ』です。
本記事ではネタバレを含みません。
表紙とタイトルからB級臭がぷんぷんしますね!
この手の漫画は、B級と思っても手にとってしまう魅力があります。
巻数
4巻
総合評価 2点(2.4点)
期待して読むとつまらないですが、期待せずに読むとそこそこ楽しめます。
学園モノで高校生が暴走していく話です。「それは正義ではない」と読んでいて思うでしょう。しかし、客観的には、私たちも彼らと同じように振舞っているのかもしれません。
各指標評価
1.ストーリー 3点
読んでもいいと思います
全体的に展開が早く、前半は勢いだけで進みますが、後半は多少読み応えがあります。
高校生たちによる先生いじめの計画が狂い、お互いに疑心暗鬼になる話です。先生いじめは、わかりやすい導入があります。が、自殺を演じる生徒が本当に死んでしまい、先生いじめから、自分の欲望を満たすために互いを利用し合う内容に変わります。
こういう漫画ではしょうがないのでしょうが、人の命が軽すぎます。何か起きないと飽きてしまう読者も影響しているのでしょう。
当初のB級感よりも読める作品でした。特に、やばいやつが正体を現してからは、期待していた以上には面白かったです。
終わり方はもったいない。黒幕は正直誰でもいいのですが、その動機が弱い。そこを詳しく描かないからこそ、黒幕の邪悪(あるいは正義)が根本的なものだと言いたいのかもしれませんが。
2.キャラクター 3点
読んでもいいと思います
邪悪な者が数人います。それは、暴力といった表面的なものではなく、彼らに根ざしている邪悪さです。基本的に、彼らは自らを正義だと思っています。
だからこそ、どのような非道な行いをもやってのけるのです。ドストエフスキーの『罪と罰』にある「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」ように、彼らは行動しています。
モブキャラはほとんど描かれません。登場人物は、それぞれ何らかの役割を担っており、他と被らないよう調整されています。
ただ、魅力的と思えるキャラクターはいませんでした。全体的に思考が薄く、中二病に脳を侵された感じです。
3.読みやすさ 2点
読みたければ読めばいいと思います
絵の好き嫌いが出ると思います。私は、苦手です。
全体的に細い感じが非リアルなんですよね。人間っぽくなくてマネキンのような絵。特に、顔は見ていて不安になる描き方です。著者の狙いは、絵で不安にさせることではないでしょうに。
4.没入感 1点
読むことをオススメしません
上で書きましたが、そもそもの絵が非リアルで没入できませんでした。読みながら、これは現実ではないと冷めてしまいます。
加えて、内容も過激を詰め込みすぎています。もう少し、それぞれの過激さを薄めれば、もっとリアルに感じられたでしょう。学内のいじめで、程度を超えているものが多発し、嘘っぽくなっていました。過激な内容を絞れば、現実世界でも存在しそうな者を表現できたと思います。
もしかしたら、本作品で描かれているいじめこそリアルなのかもしれませんが。。。
5.独創性 3点
読んでもいいと思います
学園もので先生いじめは、新しいテーマではありませんし、その計画が狂い内輪揉めする展開もありがちです。
しかし、この作品で独創的なのは、各人が薄っぺらい正義感を振りかざし、その信念の基、自身の行為を正当化しているところにあります。それが最初の先生いじめから、最後のXXXまで貫き通されているところは、新しいのではないでしょうか。
それら正義に立ち向かう者は非力であり、結果として、正義と正義の潰し合いになっている感が、物語を面白くしています。
最後に
副題に「人間狩り」とあり、香ばしそうな内容だと思ってしまいます。私は、最初手に取った時、『喰猟教室』を思い出しました。実際、そういう系の漫画でした。
しかし、『喰猟教室』よりは読める作品でしたよ。
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ネタバレあり感想