漫画おすすめソムリエ子

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[バレあり]デッド・オア・アニメーション_感想017[3点]

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今回は『デッド・オア・アニメーション』のストーリー毎に私の感想と注目ポイントを紹介したいと思います。ストーリーの分け方は私の分類によりますので、もしかすると皆さんとイメージと違うかもしれません。

本記事ではネタバレを含みます。

各ストーリー感想

入社編 1巻(1〜3話)

青森から夢を追い上京した若者(純くん)。それが実現したのも父によるところが大きいです。父は夢より大切なものができて、絵描きを諦めました。そして、その大切なものは息子である主人公のことでした。自分が夢を半端に諦めることになったからこそ、息子には「叶える」か「敗れるか」どちらかにたどり着いて欲しいんですね。

 

と、ハートフルなスタートでしたが、2話からはアニメ業界の悲壮さが描かれています。井の中の蛙、大海を知らず。主人公の絵は東京の洗練された絵に遠くおよびませんでした。と言うよりも、トレンドを追えていませんでした。地方と東京の情報格差が出ています。

 

著者は、これによって、現代の若者の就活における地方格差を問題にしているのかもしれません。限られたテレビチャンネルでは、現代の情報が入って来ず、また、同じ志の仲間も探しにくいため、地元でしか通用しないレベルで終わってしまいます。youtubeやSNSの発展は彼らに力を与えるものですね。それが、デジタルイラストのような、紙での表現を超えた結果になっているのは、本作品での皮肉でしょう。

 

画力が正義というのはわからなくはないです。しかし、どのレベルの画力を出すのがいいんですかね。過労死した同僚の葬儀に出ずに、仕事をし続ける。それは人間的な生活ではありません。安易な気持ちでアニメ業界に入れば、「生活」が損なわれます。

 

制作進行編 1〜2巻(4〜8話)

なんやかんやで職を得ました。描く仕事ではなく、管理する仕事ですが。主人子はアツいですね。描く機会がないのであれば、人の描き方を盗めばよい、と。

 

ここで面白いのは、「社交的に」絵を描けと言う話です。 つまり、質ではなく量を描く。この漫画も、社交的に書かれていますね(笑)。社交的な作品は読者に思いが伝わらないとわかりながら、社交的に描くのはエスプリが効いています。私は、こういうの嫌いじゃないですよ!

 

純くんは、不器用な方法でしたが、メンバーの離脱を防ぎ、裏さんの復活に貢献しました。ただ、裏さんの病気設定はいったいなんなのでしょう。描きすぎて右手がいイカかれてしまった、とかですかね。終盤の画面では、疲労で倒れていましたが。

 

やばいやつ編  2巻(9〜12話)

残念です。嵐ちゃんそのものが残念キャラクターなのではなく、嵐ちゃんのようなクレージーキャラを安易に登場させたことです。

 

考えられるのは、ここで「可愛らしいが、クレージーなキャラクターを登場させ、それで人気を得よう」と言う作戦です。話的に、新しいキャラが出るのはいいのですが、可愛らしいフォルムにするのは、リアルじゃないんです。こういう危ないキャラクターは、中年のおじさんくらいがリアルなんですよ。

 

結果として、3巻と言う尺ではうまく扱えていません。もっと長ければ、例えば『バクマン。』みたいに20巻くらいの漫画であれば、より嵐ちゃんを深掘りしたストーリーを作成できたでしょう。

 

嵐ちゃんの尋問は正論でしょう。ただし、正論がいつも善かは別なんですよね。それをわかっているからこそ、憂さ晴らしとして行なっています。純くんは「正しさ」に押し潰されそうになっていますが、その中からでも、自分の方向性を得たのは本当に素晴らしいです!

 

ライバル編 2〜3巻(13〜16話)

裏師匠の双子の兄「表」社長が登場。弟とは違い経営に力を入れています。

ここのストーリでは、文化としてのアニメよりも商業としてのアニメが優位であることが描かれています。弟の裏師匠が文化的であり、兄の表社長が商業的です。裏師匠はとても日本的です。それは、いいものをつくれば評価される、という発想です。

 

裏師匠では、「使えば違いがわかる」や「わかる人にだけわかればいい」という職人色が出ています。これ伝わらないんです。現代では、コンテンツが多くあり、それを消費者に届ける手法も多様なので、どれだけいいものを作っても気づかれないんですよね。だから、そもそも使ってもらえない。

 

一方で、表社長は、そのあたりを理解しているため、絵そのものではなく、グッズや他メディアを活用したプロモーションを駆使しています。マーケティング的にはこれが正解で、秋元康さんが同様の商法を得意としています!

 

表社長は弟想いのいいやつでした!思ったよりも、いいやつ感がでるのが早かったですね〜。もっと引っ張ってもよかった気がしますが・・・。3巻で終わるというのはどの段階で決まってたんですかね。

 

主人公成長した編 3巻(17〜20話)

なんかすごい成長しています。折れそうな心を必死に支えていたエピソードは、グッときます。一見すると、アツい男にしか見えませんが、しっかりと弱さも表現できているのは人間味があって良いです。

 

協業編 3巻(21〜最終話)

あの脚本を実現すること、それが裏師匠と表社長の夢。 

同じ目標に向かうが、アプローチが違っただけ、そんな2人の共闘です。絵に厳しい弟と、そのような現場をうまくマネジメントする兄。純くんの役割は、弟のやる気スイッチを入れることです。綺麗にまとめってはいます。

 

「叶わないかもしれない夢に立ち向かう価値ってあるんですか?」という投げかけ。この質問はナンセンスです。それは、聞かれた側が夢を持っているという前提があるから。夢が明確になっているだけで、とても幸福なことなんです。そして、それを叶えるために邁進する時ことが最も幸福な時間なんです。

 

では、夢がない人はどうすればいいのでしょうか。必死に生きて、自分で見つけるしかないのでしょう。

 

最後に 

この作品はもっと伸びる見込みがあったように思えます。話毎に読むと、実はスピード感がないんです。話と話の間は進展するのですが、話の中では展開が遅いんです。それが不人気の原因でしょう。感想を書いていて気づきました。

 

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