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[バレあり]ちーちゃんはちょっと足りない_感想015[4点]

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今回は『ちーちゃんはちょっと足りない』のストーリー毎に私の感想と注目ポイントを紹介したいと思います。ストーリーの分け方は私の分類によりますので、もしかすると皆さんとイメージと違うかもしれません。

本記事ではネタバレを含みます。

ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)

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各ストーリー感想

ちーちゃん編 1巻(1〜3話)

中学2年生にも関わらず、割り算ができないちーちゃん。それでも、特別支援学級ではないのは、何故なのでしょうか。はじめ、登場する彼女らのクラスメイトも特別支援学級の生徒かと思ったのですが、「普通」のクラスであると考えたほうが整合性がありした。調べてみたところ、本作品の理科のテストで出されている問題は、現実の中学2年生の理科の範囲のようです。

 

考えられるのは、著者が「普通とは何か?」疑問を投げかけているということです。読み手は、なぜちーちゃんのような生徒が他の生徒と同じ授業を受けているのか不思議に思うでしょう。それは、前提として、ちーちゃんの知能は劣っていて、特別な支援が必要と読み手が考えているからです。ちーちゃんは知的に普通ではなく、保護される対象である、と。

 

著者は、それに対して、ナツというちーちゃんほど知能は劣っていないが、周囲よりも劣っている人物を登場させています。読み手にとっては、ナツが普通の最低限であると認識するでしょう。ナツは、「普通」という主題に対する正であり、ちーちゃんは、それを否定する存在になっているのです

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「簡単だったなー」と言いつつ、ちーちゃんの答えが気になるナツ。自分より劣っている者の近くにいることで、安心感を覚えています。周囲が付き合っているかどうかを気にしているナツにとって、恋人がいることは大人の証なんでしょう。ここから、誰かに認められたい、必要とされたいと思う心理が描かれています。

 

ちーちゃんにとってのアホはナツでした。これはナツには相当堪えるものです。なぜなら、自分より劣っていると思っている者が、自分のことを劣っていると考えているからです。それも、「悪意なく」です。その場のナツの内心は描かれていませんが、そう推測できます。

 

ナツ編 1巻(4〜8話)

本作品内では、基本的に親は描かれていません。思春期特有の自己中心性を表現しているのでしょう。では、誰の観点で?ナツの観点で1話から描かれています。

 

旭にお金を借りようとしたナツ。しかし、旭の発言により、相談することをやめました。ナツは意見の対立による仲違いを恐れています。にも関わらず、グアム旅行の話の場面から、旭にとってナツはそれほど重要な友人でないことが読み取れます。

 

そのような環境が、5,000円のリボン1つで変わると思っていたナツ。中学2年生にとって、5,000円は大金ですね!ちーちゃんが盗んだお金はナツにとって魅力的過ぎました。その後、ちーちゃんが自分を裏切ったと思ったナツは、ちーちゃんに絶望した後、自分自身に絶望しました。ナツは自責的です。それがナツの性向であり、生き辛さでしょう。

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最後、綺麗に終わっていますが、何も解決していません!!明るく終わっていますが、ナツはまた同じような苦しみを味わうでしょう。これは、ちーちゃんという異常に世間は注目しやすいが、救いはナツのような弱者にも必要だということを意味しています。これこそ、本作品で著者が訴えたいことなのかもしれません。

 

最後に

本当の弱者(ちーちゃん)は、世間が勝手に救ってくれます。しかし、ナツのような弱者を、世間は救いません。むしろ、「もっと頑張れ」と訴えるでしょう。そう言われると、頑張れない自分が嫌になり、ナツのような者は世界に絶望します。

 

著者の狙いは、真に生き辛い世の中を描くことだと思いました。では、どこまで助ければいいのか?そのような難問に直視させられる作品です。

 

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ネタバレなし評価

 

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