今回紹介する漫画は『うみべの女の子』です。
本記事ではネタバレを含みません。
浅野いにおさんの作品です。浅野さんは、宮崎あおいさん主演で実写映画になった『ソラニン』という漫画の著者ですので、ご存知のかたも多いのではないでしょうか。私は『ソラニン』の映画を見て、宮崎あおいさんの可愛さにやられました!
巻数
2巻
総合評価 5点(4.6点)
絵がいい!ストーリーも高得点ですが、何よりも絵が好きです。思春期の日常は、表面は均一であるように見えますが、内部はみんなバラバラでドロドロしていますね。本作品では、それが見事に表現されています。
各指標評価
1.ストーリー 5点
話の一貫性はしっかりしています。主人公の女の子である小梅ちゃん、オタク系男子である磯部ともに思春期真っ只中です。2人はませた中学生として、中二病と自己中心を拗らせながら生活していきます。互いに傷つけあいながらも互いを必要として姿勢は、純愛とは言えませんが、愛の1つの形ではあります。終わり方は意見が分かれるかもしれませんが、私は嫌いではありません。途中からは想像がつかないほどのさっぱり感があります。
にしても、中学生の設定は若いな〜、と感じました。今時の中学生は、さらにませているんでしょうか。スマホによって、幼い頃から良くも悪くも各種知識に晒されていますからね。
2.キャラクター 5点
登場するキャラクターは全体的に嫌いではありませんが、特段好きでもありません。うまく書き分けられているとは感じますが、ずば抜けた魅力はないです。大人びているけれども、それに心がついていけていない中学生が表現されています。そういう観点で見ると、没個性的であることこそ著者の狙いでしょう。
小梅ちゃん、磯部ともに拗らせ度は高いです。この2人の中でも、終盤の磯部の転身は見ものです。その部分の表現で5点になりました!
3.読みやすさ 5点
私は、この絵が猛烈に好きなんです!描かれている人たちがとても愛らしい。と同時に、悪意ある人物は愛らしい絵によって邪悪さが拡大します。
コマ割りも読みやすいですよ。
4.没入感 4点
ストーリーは面白いし、絵も好みです。そうすると没入してしまうんじゃないの?と思われるかもしれませんが、ちょっとした嫌な感じがあるんです。途中で続きを読むのが怖くなります。な〜んか嫌な予感がして、無意識的に離れたくなってしまう時がありました。
ある意味、それは著者の表現の凄さでありますが、この項目では減点評価になります。嫌な予感でさらに惹きつけられ没入するまでにはいきませんでした。
5.独創性 4点
設定は独創的ではないです。「ストーリー」で少し触れましたが、本作品が、ませた思春期の日常を描いているからです。ただ、話の進め方として、性描写を多用することで、性行為が彼らの物理的、精神的なつながりの象徴になっています。それ自体は他の作品でも見られるでしょうが、描写が多いんです!それほどに強調することで、2人の関係が確認しなければ崩れてしまう脆さであることを表現しています。単なる性描写ではなく、関係性を描くために必要なものであり、それが物語で重要な役割をきちんと果たしています。
最後に
本作品は、性描写が露骨ですし多いです。苦手な方は避けられた方が無難ですよ。ただ、絵が可愛らしいこともあり、それほどのリアルさはありません。その描写に没入することはなく、表現の1つして楽しめると思います。途中でクドさを感じることはあるかもしれませんが・・・。
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