今回は『きみが心に棲みついた』のストーリー毎に私の感想と注目ポイントを紹介したいと思います。ストーリーの分け方は私の分類によりますので、もしかすると皆さんとイメージと違うかもしれません。
本記事ではネタバレを含みます。
きみが心に棲みついた 新装版 (上) (FEEL COMICS swing)
- 作者: 天堂きりん
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2017/12/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
各ストーリー感想
新しい出会い編 上巻
合コンで「付き合う相手は誰でもよい」と言い切って主人公。彼女のパーソナリティを知らない人ならドン引きの出会いです。吉崎さん(出版会社の編集部の人)の反応はまともでしょう。現実世界であれば漫画のような可愛さはないはずなので、余計に嫌です(笑)。ドラマでは、主人公役を吉岡里帆さんが演じられていましたが、吉岡里帆さんのルックスでも厳しいところですね。
主人公が人の意見に流されやすい性質と分かりながら、彼女にアドバイスする人も自己満足野郎の一員です。堀田さんは一見主人公の親身になっているように見えますが、自分の求める彼女(主人公)でなければ見捨てるエグさを持ち合わせています。
主人公の周りにいる人が、その中でも近い存在の人が、主人公を操り気持ちよくなっている下劣ばかりです。とても恐ろしい漫画だ。
再会編 上巻
元彼の星名と再会します。 これは偶然。偶然ゆえに主人公の悲劇的な運命が表現されています。主人公は変わろうと努力し、元彼の誘惑を断ち切ります。すごい、すごいぞ主人公!元彼が同じ会社と言うのは環境的にかなり悪いですが、今は吉崎さんに対象が変わっているのでなんとか乗り越えられそうです。ま、そもそもの人に依存する体質は変わっておらず、行動力のあるメンヘラと言えますが。
飯田さん(実は方言を話す今時の子)は悪いやつ的に書かれていますが、堀田さんよりまともです。堀田さんは自分が良いやつだと思いながら、主人公をいじめているタイプですからね。飯田さんは自分のためにやっていると自覚があるのでマシです。
過去編 上巻
過去の話は適宜挟まれていますが、ここで1つのストーリーとして話が進みます。 正直、かわいそう。周りの人が面白がって彼女をいじる(いじめる)のは分かりますが、母親がひどいですね。彼女は先天的な障害者でしょう。「障害者を生んだ」と非難されたくないため、母親は彼女をゴミのような存在と認知しているのでしょう。
ダーク星名の副音声のところは表現がうまいですね。ここらあたりで、「実は星名も母親に愛されなかったのでは?」と推測ができます。自分より愛されていない主人公が支えになっているんですね。
仕事夢中編 上・下巻
主人公は仕事を頑張っています。星名の誘いにもうまく対処できています。ところどころダーク星名になっているのがいいですね!仮面を捨てていて、主人公を自分のおもちゃにしたい欲求を抑えれていません。チープ加減がいいです。
ここで大暴騰したのは、吉崎さんです。結局、こいつも主人公を都合の良い女としか認識してなかったわけですよ!ポスト星名にはまだまだ遠いですが、ポテンシャツはあります。この作品の中では比較的まともなキャラクターだっただけに、とても気持ち悪かったです。
迷走編 下巻
周囲がどんどん離れて行きます。
その周囲は、自分の求める(扱いやすい)彼女とは違うようになりつつある彼女を見て、脅迫的にもとの彼女に戻るよう説得するために離れていきました。
おもちゃ編 下巻
主人公は幸せです。星名のおもちゃとして生きていくことを決めました。でも、主人公は諦めていません。星名がいずれは自分を選んでくれるのではないか、と。
下着ショーに下着姿で出るよう言われ、従った主人公は哀れです。でも、それが彼女の幸せに必要な一歩なのです。「本人が幸せなら、それでいいのでは?」と思うのは、思考の放棄なのでしょうか。
最後に
人間の闇と脆さを丁寧に書いた作品なのです。 主人公は確かにかわいそうです。そして、星名は確かにやばいやつです。でも、吉崎さんや堀田さん等主人公側に見える人も十分に気持ち悪いのです。自分が「善」の側にいると思い込んでいる分、余計に悪いタイプです。飯田さんが卑劣な女性に見えますが、その観点でマシなのです。
著者は、主人公と星名のキャラクターを強烈に描くことで、周囲の人の欺瞞的態度を巧妙に隠しています。考えば考えるほどに深い作品でした。
続編はこちらです!
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きみが心に棲みついた 新装版 (上) (FEEL COMICS swing)
- 作者: 天堂きりん
- 出版社/メーカー: 祥伝社
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ネタバレなし評価
5点中5点とオススメの作品です。
読んで楽しい気持ちになる本ではありません。
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